意匠
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意匠事例に学ぶ① |Apple vs Samsung ~世界的なデザイン訴訟から学ぶ意匠権~
徳山英浩
この記事は、新商品や新サービスを開発している事業者の方に向けて書いています。
世界を巻き込んだスマートフォン訴訟
意匠権の重要性を語る上で、私がまず思い浮かべるのがAppleとSamsungの訴訟です。
AppleとSamsungの間では、スマートフォンやタブレットをめぐり、長年にわたって複数の知的財産権が争われました。
その中で特に注目されたのが、iPhoneの外観に関する米国のデザイン特許です。
Appleは、丸みを帯びた長方形の端末前面、画面周辺を含む外観、ホーム画面のアイコン配置などに関する米国のデザイン特許を根拠に、Samsung製品がこれらの権利を侵害したと主張しました。
米国の「デザイン特許」は、名称に「特許」とありますが、製品の外観を保護する制度であり、日本の意匠権に近いものです。
この訴訟は、単にスマートフォンの技術が争われたものではありません。
製品の外観や画面デザインが、どこまで重要な知的財産として保護されるのかも問われた訴訟でした。
なぜ世界的な事件になったのか
AppleとSamsungの訴訟が世界的に注目されたのは、単に大企業同士が争ったからではありません。
世界のスマートフォン市場を代表する2社が、iPhoneの外観や画面表示など、製品の「デザイン」の価値を正面から争った事件だったからです。
Appleは2011年、SamsungがiPhoneに似たスマートフォンを販売したとして提訴しました。
争点となったのは、スマートフォン前面の形状、角の丸み、ベゼルのデザイン、アプリアイコンが並ぶ画面表示などです。つまり、通信性能や内部技術だけでなく、消費者が製品を見たとき・操作したときに感じる印象そのものが争われました。
この事件は、デザインが企業の競争力に直結することを象徴しています。
スマートフォンは、基本的な機能だけで差別化することが難しい製品です。
その中で、手に取ったときの見た目、画面の分かりやすさ、操作時の印象といったデザインは、消費者が「どの製品を選ぶか」を左右する大きな要素になります。
また、損害賠償額が極めて高額だったことも、世界中で報道された大きな理由です。
2018年の再審では、Appleが保有する3件のデザイン特許の侵害について、Samsungに約5億3,330万ドルの損害賠償を支払うよう陪審が評決しました。
さらに、技術特許に関する約530万ドルを合わせ、支払額は約5億3,860万ドルとなりました。
この事件から学べるのは、意匠は単なる「見た目の権利」ではないということです。
独自のデザインは、商品を選ばれる理由にし、ブランドを形づくり、ときには数億ドル規模の経済的価値を持ち得ます。

なぜデザインが争われたのか
スマートフォン市場では、処理速度、通信性能、カメラ性能などの技術が重要です。
しかし、消費者が商品に触れたとき、最初に認識するのは外観や画面の印象です。
外観は購入のきっかけになり、ブランドイメージにも影響します。
Appleは、技術を特許で守るだけでなく、端末の外観や画面デザインについても、米国のデザイン特許による保護を図っていました。
この点に、事業を知的財産で守るという発想が表れています。
Appleほどの巨大企業でなくても、商品の外観が購入の決め手になる商品は少なくありません。
商品によっては、意匠権が中小企業や個人事業主にとっても有効な保護手段になることがあります。
自社商品ならどう考えるべきか
AppleとSamsungの訴訟から学べることは、技術だけでなく、デザインにも目を向けることです。
新商品を開発するとき、多くの方は特許の取得を検討します。
もちろん、それは非常に重要です。
しかし、商品に特徴的な外観やデザインがある場合には、意匠権による保護も検討する価値があります。
AppleとSamsungの訴訟は、意匠権が決して脇役の権利ではないことを教えてくれます。
商品やサービスを守る方法は、特許だけではありません。
【初回相談は無料です】
新商品や新サービスの知的財産保護についてお考えの方は、お気軽にIPプラウド国際特許事務所までご相談ください。
商品やサービスの内容に応じて、特許・意匠・商標のどのような組み合わせが有効なのか、一緒に検討させていただきます。