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意匠事例に学ぶ③| 無印良品 vs カインズ ~シンプルなデザインは守れるのか~
徳山英浩
2026/8/25
この記事は、新商品や新サービスを開発している事業者の方に向けて書いています。
シンプルなデザインは守れないのか
「シンプルなデザインは、ありふれているから守れないのではないか」
商品開発のご相談を受けていると、そのように考えられている方も少なくありません。
確かに、装飾が少なく、構造も単純に見える商品では、特徴を説明しにくいことがあります。
しかし、シンプルなデザインであっても、意匠として保護できる場合があります。
一見するとありふれた形に見える商品でも、全体のバランスや部材の組合せ、細部の形状に特徴がある場合があります。
この点を考える上で参考になるのが、無印良品を展開する良品計画とカインズの間で争われた、ユニットシェルフをめぐる事件です。
なお、この事件は意匠権侵害を直接争ったものではなく、不正競争防止法に基づく事件ですが、新商品を発売する段階でなぜ意匠出願を検討すべきかを考える上で、参考になる事例です。
何が争われたのか
良品計画は、無印良品のブランドで、組立式の「ユニットシェルフ」を長年販売していました。
このユニットシェルフは、2本の棒材を結合して構成された支柱、横桟、棚板などからなる、簡潔で機能的な外観を特徴としていました。装飾を抑えた、いわゆるシンプルなデザインの棚です。
良品計画は、カインズが販売した組立式の棚が、無印良品のユニットシェルフと類似する形態を有するとして、販売差止めなどを求めました。
争点となったのは、棚の形態そのものが、無印良品の商品だと消費者に認識されるようになっていたかという点です。
無印良品が守れた理由
東京地方裁判所は、ユニットシェルフの形態について、他の商品と識別し得る特徴を有し、長期間の販売や広告宣伝を通じて、良品計画の商品を示す「商品等表示」として周知になっていたと判断しました。
「商品等表示」とは、商品名やロゴのように、どの会社の商品・サービスであるかを示すものをいいます。通常は、商品の形そのものが商品等表示になるわけではありません。しかし、形態に特徴があり、長年の使用や販売を通じて、消費者が特定の会社の商品だと認識するようになれば、商品の形態も商品等表示として保護されることがあります。
裁判所は、カインズの製品がユニットシェルフの形態と類似し、需要者に出所の混同を生じさせるおそれがあるとして、不正競争防止法に基づく差止めと廃棄を認めました。
知的財産高等裁判所も、カインズの控訴を棄却し、一審の結論を維持しています。

新商品は不正競争防止法を待てない
この事件で重要なのは、無印良品が長年かけてブランドを育てていた点です。
商品の形態が不正競争防止法で保護されるためには、その形態に他の商品と区別できる特徴があることに加え、消費者が「この形は無印良品の商品だ」と分かるほど、広く認識される必要があります。
そのためには、長期間の販売、販売実績、広告宣伝などの積み重ねが必要です。
新商品を発売した直後に、同じ保護を期待できるわけではありません。
だからこそ、商品の外観に特徴がある場合には、発売・公表前に意匠出願を検討することが重要です。
意匠権であれば、登録を受けることにより、どのような外観を保護するのかを明確にした上で、早い段階から権利行使を検討できます。
自社商品ならどう考えるべきか
シンプルなデザインの商品ほど、「ありふれているから保護は難しい」と考え、意匠出願を後回しにしてしまうことがあります。
しかし、使いやすい形、全体のバランス、部材の組合せ、操作部の配置などが、商品の選ばれる理由になることがあります。
無印良品のユニットシェルフ事件は、長年育てたブランドの形態が守られた事例です。
同時に、新商品であれば、ブランドが育つのを待つのではなく、発売前から意匠による保護を検討すべきだということも教えてくれます。
IPプラウドからの提言
商品を守るために重要なのは、派手なデザインかどうかではありません。
そのデザインが、商品価値やブランドイメージにどのように貢献しているかを考えることです。
新商品を開発する際には、特許だけでなく、意匠・商標も含めて検討してみてください。
【初回相談は無料です】
新商品・新サービスの知的財産保護についてお考えの方は、お気軽にIPプラウド国際特許事務所までご相談ください。
商品やサービスの内容に応じて、特許・意匠・商標のどのような組み合わせが有効なのか、一緒に検討させていただきます。