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iPhoneから学ぶ、商標調査の重要性

2026/8/24

iPhoneから学ぶ、商標調査の重要性

今やスマートフォンの代名詞ともいえる「iPhone」。

世界中で知られるブランドですが、日本で「iPhone」を使用するにあたっては、Apple自身の商標だけで対応しているわけではありません。Appleは、インターホンなどを製造するアイホン株式会社の許諾を受けて、「iPhone」の商標を使用しています。Appleの公式資料にも、その旨が記載されています。

「iPhone」と「アイホン」は、表記こそ異なりますが、読み方が共通します。

この事例は、商品名やサービス名を決める際、見た目が違う名前であっても、既存の商標との関係を確認する必要があることを示しています。

「iPhone」と「アイホン」

アイホン株式会社は、インターホンなどを製造・販売する企業で、「アイホン」の商標を長年保有してきました。「アイホン」の商標は1955年に登録されており、Appleが初代iPhoneを発表する以前から存在していました。

Appleの「iPhone」は、日本ではアイホン株式会社の許諾を受けて使用されています。

このように、世界的に有名な名称であっても、日本で使用する際には、既に存在する商標権との関係を個別に確認する必要があります。

同じ名前でなくても問題になる

商標というと、「同じ名前でなければ大丈夫」と考えられることがあります。

しかし、商標権は、完全に同一の名称だけではなく、似ている商標にも及ぶことがあります。商標が似ているかどうかは、文字や図形の見た目である外観、読み方である称呼、言葉から受ける意味合いである観念などを踏まえ、商品・サービスとの関係も含めて個別に判断されます。

「iPhone」と「アイホン」は、見た目や表記は異なりますが、読み方が共通します。このように、英字表記とカタカナ表記、造語と既存語などであっても、読み方が近ければ、商標上の検討が必要になる場合があります。

商標問題の解決方法は一つではない

他人の商標権と抵触する可能性がある場合、名称を変更することだけが解決方法ではありません。

相手方との合意により、商標の使用許諾を受ける方法もあります。Appleとアイホン株式会社の関係は、商標権者の許諾を得てブランドを使用する一例といえます。

ただし、相手方との交渉が必ずまとまるとは限りません。名称変更を求められれば、ロゴ、パッケージ、Webサイト、広告、SNS、取引先向け資料など、事業で使う表示をまとめて見直す必要が生じることがあります。

名称を広く使い始めてから変更するほど、費用や事業上の負担は大きくなります。

商標調査は命名前に行う

商標については、「商品名が決まったので出願したい」という相談が多くあります。

しかし、本当に重要なのは、その一歩前です。

新商品や新サービスの名称候補が出た段階で、「その名称を採用して問題がないか」を確認することです。

確認の対象は、完全に同じ商標だけではありません。読み方が似た商標、意味合いが近い商標、同じ又は近い商品・サービス分野の商標なども検討します。

中小企業やスタートアップが、新商品名、サービス名、アプリ名、ブランド名、会社名などを決める際には、少なくとも次の点を確認しておくとよいでしょう。

  • 同じ又は似た商標が、すでに登録されていないか

  • 自社の商品・サービスの分野で使用できる名称か

  • 将来も使い続ける予定の名称か

  • 自社で商標登録を検討すべき名称か

この事例から学べること

iPhoneの事例は、商標調査が「出願のための手続」だけではなく、名称を採用するかを判断するための準備でもあることを示しています。

優れた商品やサービスを作っても、その名称を使い続けられなければ、ブランドづくりをやり直すことになりかねません。

商標調査は目立たない作業ですが、後から名称変更やライセンス交渉を迫られることを避けるための、大切な準備です。商品名やサービス名を決める前に、一度、商標の観点から確認しておくことが、事業の選択肢を広げます。

※本記事は公開情報を基に、商標実務上の一般的な論点を解説するものです。個別の侵害の成否を判断するものではありません。