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一蘭の中国問題から学ぶ海外商標の重要性

2026/8/24

一蘭の中国問題から学ぶ海外商標の重要性

ラーメンチェーン「一蘭」に似た店舗が中国で話題になりました。店名だけでなく、ロゴ、看板、店舗の雰囲気なども本家を想起させるとして、日本でも注目を集めています。

このニュースを見て、「一蘭は中国で商標を取っていなかったのではないか」と思った方もいるかもしれません。

しかし、一蘭は中国でも「一蘭」や看板の図形などについて商標登録を行ってきたとされています。今回の事例は、商標を取得していなかった企業の失敗ではなく、海外で権利を確保していても模倣や類似表示が起こり得ることを示す事例です。

商標を取っていても模倣は起こる

商標登録をすると、「これで完全に安心」と思われることがあります。しかし、現実にはそう単純ではありません。

模倣する側は、名称の一部を変えたり、ロゴの細部を変えたり、店舗の内外装や配色、商品表示を似せたりすることがあります。今回話題になった店舗でも、「一蘭」と全く同じ表示ではない形や、似たデザインの使用が問題となっています。

商標侵害が成立するかは、登録されている商標の内容、相手方が実際に使用する表示、商品・サービスの関係などを踏まえて個別に判断されます。海外では、現地の制度や実務も確認しなければなりません。

それでも登録には意味がある

商標登録は、模倣を完全になくすためだけのものではありません。問題が起きたときに、対応を検討するための重要な基盤です。

現地で商標権を確保していれば、相手方の表示や使用態様に応じて、商標権に基づく対応を検討できる可能性があります。反対に、商標権がなければ全く対応できないわけではないものの、対応の選択肢や立証の負担に差が生じることがあります。

一蘭の事例は、海外商標を取れば模倣がゼロになるという話ではありません。海外でブランドが知られるようになったとき、模倣や類似表示に向き合うための土台を、あらかじめ作っておくことの大切さを示しています。

中小企業にも関係する

「一蘭のような有名企業だから狙われる」と感じる方もいるでしょう。しかし現在は、EC販売、SNS、動画、インバウンド、海外の取引先からの問い合わせなどを通じて、中小企業やスタートアップでも海外で商品名・サービス名が知られることがあります。

自社が海外進出を予定していなくても、商品が海外で流通する、将来の取引先から輸出を提案される、といったことは起こり得ます。その段階で初めて海外商標を調べると、すでに第三者の出願・登録が見つかることもあります。

この事例から学べること

一蘭の事例は、「海外商標を取っていなかった失敗」ではありません。

むしろ、海外商標を確保していたからこそ、模倣的な表示に対して対応を検討できる事例といえます。

商標権は国ごとの権利です。日本で登録していても、中国、米国、欧州などで自動的に保護されるわけではありません。海外でブランドをどう守るかは、海外進出が具体化してからではなく、ブランドを育て始める段階で一度考えておく価値があります。

商品名やサービス名を決める段階では、海外商標までは考えていないことも少なくありません。

しかし、事業が軌道に乗ってから対応しようとすると、想定以上に時間や費用がかかることがあります。

「海外展開はまだ先」と思っていても、一度状況を確認しておくことは無駄になりません。

※本記事は公開情報を基に、商標実務上の一般的な論点を解説するものです。個別の侵害の成否を判断するものではありません。