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弁理士でも意外と知らない?弁理士業界の数字を見てみる
徳山英浩
突然ですが、クイズです。
全国の弁理士のうち、35歳未満は何%くらいいると思いますか?
私が同業の弁理士にこの質問をすると、こんな反応が返ってくることがあります。
「クイズにするくらいだからかなり少なそうですね。10%くらいですか?」
正解は、約3.7%です。
そう伝えると、大抵の方が驚きます。
私は以前から、弁理士に関する統計から割合を計算したり、複数の数字を組み合わせて分析したりしてきました。ただ、同業の弁理士と話していると、そこから分かることは意外に知られていないと感じます。
そこで今回は、統計の数字をそのまま紹介するだけでなく、計算や比較を通じて見えてくる弁理士業界の姿を共有したいと思います。
全国の弁理士数は11,897人|40歳未満でも約8.5%
今回取り上げる2026年8月31日時点の会員分布の集計では、登録弁理士数は全国で11,897人です。
年齢別の人数から、30歳未満、35歳未満、40歳未満の割合を計算すると、次のようになります。
年齢区分 | 人数 | 登録弁理士全体に占める割合 |
30歳未満 | 102人 | 約0.86% |
35歳未満 | 437人 | 約3.67% |
40歳未満 | 1,010人 | 約8.49% |
※各区分は累計です。40歳未満の人数には、30歳未満・35歳未満の人も含まれます。35歳未満は、およそ27人に1人です。さらに、40歳未満まで広げても1割に届かず、およそ12人に1人という計算になります。
私が印象的だと感じたのは、同業者が「35歳未満は10%くらい?」と予想したのに対し、実際には40歳未満まで広げても約8.5%だったことです。
また、登録弁理士全体の平均年齢は、54.51歳です。75歳以上の登録弁理士は862人で、全体の約7.2%です。
弁理士試験の合格者は平均34.3歳|司法試験・公認会計士試験との比較
この年齢構成を見て、まず気になるのが、弁理士になる人は何歳くらいで試験に合格しているのか、ということです。
2025年度の弁理士試験合格者の平均年齢は34.3歳でした。同じ2025年の司法試験、公認会計士試験と比較すると、次のようになります。
試験 | 合格者の平均年齢 |
弁理士試験 | 34.3歳 |
司法試験 | 26.8歳 |
公認会計士試験 | 24.6歳 |
弁理士試験の合格者は、平均で司法試験より7.5歳、公認会計士試験より9.7歳年上です。
これは資格登録や実務を始めた年齢ではなく、試験合格時の比較です。それでも、資格取得に至る時期には、明確な違いが見られます。
では、弁理士試験を目指す人たちには、どのような特徴があるのでしょうか。次に、志願者の選択科目免除資格と、合格者の職業を見てみます。
志願者の半数以上が、学位・公的資格による選択科目免除者
弁理士試験には、一定の条件を満たす人が、論文式筆記試験の選択科目の免除を受けられる制度があります。
2025年度の全志願者3,501人のうち、学位や公的資格によって選択科目の免除を受けている人は1,769人。全体の約50.5%です。
そのうち、「修士・博士」を免除資格とする人だけでも1,133人おり、全志願者の約32.4%を占めています。
区分 | 人数 | 全志願者に占める割合 |
全志願者 | 3,501人 | 100% |
学位・公的資格による選択科目免除者 | 1,769人 | 約50.5% |
うち「修士・博士」を免除資格とする人 | 1,133人 | 約32.4% |
志願者の半数以上が、学位や公的資格による選択科目免除者です。すでに専門分野で学んだ人や、薬剤師や技術士などの別の資格を持つ人が、弁理士試験を目指す人たちの大きな部分を占めています。
合格者の約88%は、仕事を持つ人
合格者の職業にも特徴があります。
2025年度の最終合格者205人のうち、会社員、特許事務所勤務、公務員、教員、法律事務所勤務、自営業を合わせると181人。全体の約88.3%です。
職業区分 | 合格者数 |
会社員 | 101人 |
特許事務所 | 61人 |
公務員・教員・法律事務所・自営業 | 19人 |
仕事を持つ職業区分の合計 | 181人 |
学生・無職・その他 | 24人 |
全合格者 | 205人 |
この職業構成からは、仕事と試験勉強を両立して資格取得を目指す人が多いことがうかがえます。
合格者の平均年齢は34.3歳。志願者の半数以上が学位や公的資格による選択科目免除者で、合格者の約88%は仕事を持つ人です。
これらの数字を組み合わせると、弁理士試験には、専門分野での学びや職業経験を背景に、資格取得を目指す人が多いという姿が見えてきます。
では、毎年どれくらいの人が試験に合格しているのでしょうか。
弁理士試験の合格者は年間約200人
近年の弁理士試験の最終合格者数は、次のように推移しています。
年度 | 最終合格者数 | |
2021年度 | 199人 | |
2022年度 | 193人 | |
2023年度 | 188人 | |
2024年度 | 191人 | |
2025年度 | 205人 |
この5年間は、全国で年間200人前後です。
登録弁理士11,897人と比べると、年間200人は約1.7%に相当します。全国の登録者数と、毎年の合格者数を並べると、その規模感が見えてきます。
ただし、試験合格者数と新規登録者数は同じではありません。合格しても、すぐには登録しない人もいるためです。
では、もう少し長い期間で見ると、志願者数や合格者数はどう変わっているのでしょうか。
弁理士試験の志願者数は、かつて年間1万人前後だった
近年の弁理士試験の志願者数は、年間3,500人前後です。しかし、以前からこの規模だったわけではありません。
2000年代後半には年間1万人前後の志願者がおり、2008年度は10,494人、2010年度も9,950人でした。その後、2012年度は7,930人、2016年度は4,679人となり、2025年度は3,501人です。
年度 | 全志願者数 |
2008年度 | 10,494人 |
2010年度 | 9,950人 |
2012年度 | 7,930人 |
2016年度 | 4,679人 |
2025年度 | 3,501人 |
2016年度と2025年度を比べると約25%の減少ですが、2008年度から見ると約67%の減少。志願者数は約3分の1になっています。
どの時点から比較するかによって、数字から受ける印象も変わります。直近の10年間だけでなく、それ以前の推移も見ることで、弁理士試験を目指す人の数が大きく変わってきたことが分かります。

弁理士数の都道府県ランキング|東京への集中が際立つ
次に、地域別の人数を見てみます。
2026年8月31日時点の日本弁理士会の統計から、主たる事務所の所在地別に、弁理士数が多い都道府県を上位5位まで並べると、次のようになります。
順位 | 都道府県 | 弁理士数 | 全国11,897人に対する割合 |
1位 | 東京都 | 6,986人 | 約58.7% |
2位 | 大阪府 | 1,961人 | 約16.5% |
3位 | 神奈川県 | 965人 | 約8.1% |
4位 | 愛知県 | 652人 | 約5.5% |
5位 | 京都府 | 342人 | 約2.9% |
東京都と神奈川県を合わせると7,951人で、全国の登録者数に対して約66.8%に相当します。
大阪府は全国2位で約16.5%、愛知県は約5.5%、京都府は約2.9%で、ほかの道県はそれを下回ります。地域別に見ると、弁理士の分布には大きな偏りがあります。
登録弁理士の就業形態|地域と専門分野に分けると見え方が変わる
登録弁理士が、どのような立場で働いているかも見てみます。
日本弁理士会の統計では、主たる事務所における就業形態をまとめると、次のようになります。
就業形態 | 人数 | 全体に占める割合 |
特許事務所・弁理士法人等の経営 | 3,905人 | 約32.8% |
特許事務所・弁理士法人等の勤務 | 4,419人 | 約37.1% |
企業 | 2,998人 | 約25.2% |
その他 | 575人 | 約4.8% |
合計 | 11,897人 | 100% |
※経営・勤務は、原表の「特許事務所」「弁理士法人」「弁護士法人・法律事務所」の各区分を合算しています。その他は、官公庁・非営利団体、海外の法律事務所等、連絡先用途事務所の合計です。
事務所の経営者と勤務者を合わせると約70%、企業に属する人は約25%です。
この就業形態の割合を使って、大阪府在住の試験合格者のうち、特許事務所・弁理士法人・法律事務所等に所属する人がどれくらいいるか、目安を計算してみます。
2025年度の弁理士試験合格者205人のうち、大阪府に居住する人は26人でした。この26人の就業形態が全国の登録弁理士と同じ割合だと仮定すると、
26人×約70%=約18人
となります。つまり、大阪府在住の合格者26人のうち、特許事務所・弁理士法人・法律事務所等に所属する人は18人程度という計算です。
※全国の登録弁理士の就業形態を当てはめた試算であり、合格者の実際の所属先や、大阪府内の事務所に新たに加わる人数を示すものではありません。さらに、特許事務所・弁理士法人に所属する弁理士の専門分野も一様ではありません。商標を専門とする人もいれば、特許の中でも電機・機械、化学・材料、ライフサイエンスなど、専門分野はさまざまです。
大阪で特定の分野を扱う弁理士が新たに何人加わるのかは、この統計だけでは分かりません。ただ、地域と専門分野に分けて考えると、全国の合格者数だけでは見えなかった規模感が浮かび上がります。
ちなみに、一級建築士資格による免除ルートの合格者は・・・
私自身の経歴に関わる数字も、一つ紹介します。
2016~2025年度の弁理士試験統計を集計すると、一級建築士資格による選択科目免除者として計上された最終合格者は、10年間で合計5人でした。
弁理士と一級建築士の両資格を持つ人が全国に5人しかいない、という意味ではありません。対象期間より前の合格者や、別の経路で両資格を取得した人は、この集計には含まれません。それでも、毎年の統計から特定の免除資格に着目して合計すると、資格の組み合わせを考えるうえで興味深い数字が見えてきます。
まとめ|統計を組み合わせると、気づかなかった数字が見えてくる
35歳未満は約3.7%。40歳未満まで広げても約8.5%。弁理士試験の合格者は平均34.3歳で、近年の合格者数は年間200人前後です。
年齢別の人数から割合を計算したり、地域別の人数を合計したり、就業形態と合格者数を組み合わせて試算したりすると、個々の統計を眺めるだけでは分からなかった規模感が見えてきます。
全国に約1万2,000人いても、例えば大阪で化学・材料分野の特許を扱う弁理士が何人いるかは、別の話です。地域や専門分野に分けて考えると、総数とは違う見え方になります。
今回の分析が、同業者の方には自分たちの業界を見直すきっかけに、弁理士になじみのない方には、この職業の実像を知るきっかけになればと思います。
使用した統計資料
日本弁理士会「日本弁理士会会員の分布状況」(2026年8月31日現在)
特許庁「弁理士試験統計」(2016~2025年度の志願者統計・最終合格者統計)
特許庁「弁理士試験の実施状況」(過年度の志願者数)
法務省「令和7年司法試験の採点結果」
公認会計士・監査審査会「令和7年公認会計士試験の合格発表の概要について」
掲載した割合・累計人数・試算は、上記資料の数値を基に筆者が計算しています。