商標出願をしないとどうなる?事業者が知っておきたい商標登録のメリットとリスク1/3
2026/8/2
この記事は、商標登録出願するべきか迷っている個人事業主や小規模事業者の方に向けて書いています。
「うちはまだ小さい会社だから関係ない」
「有名になったら商標登録を考えればいい」
「先に使っているのだから問題ないはず」
商標相談を受けていると、このようなお話をよく伺います。
しかし、実際には商標登録をしていなかったために、後から大きなトラブルや余計な費用が発生してしまうケースは少なくありません。
商品名やサービス名は、事業を続けるほど価値が高まる大切な資産です。
この記事では、商標出願をしないデメリットと、商標登録するメリットを分かりやすく解説します。
商標は大企業だけのものではありません
「商標」と聞くと、大企業や有名ブランドの話だと思われる方も多いかもしれません。
しかし、実際には事業で使用している商品名、サービス名、店舗名や屋号、ブランド名、ロゴマークなどは、商標による保護の対象となります。
個人事業主や小規模事業者であっても商標とは無関係ではありません。
むしろ、事業規模が小さいからこそ注意が必要です。
商標に関する問題が発生した場合、その影響が事業全体に及びやすいためです。
事業規模にかかわらず、商品名やサービス名はお客様に自社の商品やサービスを識別してもらうための重要な目印です。
商標は「早い者勝ち」です
商標制度の最も重要なポイントの一つが、「先に使った人」ではなく「先に出願した人」が有利であるという点です。
商品名やサービス名を考え、実際に使用していたとしても、第三者が先に商標出願して登録を受けてしまう可能性があります。
そのため、事業で使用する商品名やサービス名が決まったら、できるだけ早い段階で商標出願を検討することが重要です。
商標登録をしていないと実際にどんなことが起きるのか
商標登録をしていないからといって、すぐに問題が発生するわけではありません。
実際には何年も問題なく事業を続けられるケースも多いです。
しかし、事業が成長して商品やサービスが知られるようになるほど、商標に関する問題が生じる可能性も高くなります。
例えば、新しい商品やサービスを始めるときには、商品名やサービス名を考え、ホームページを作成し、名刺やチラシを準備することが多いと思います。
事業を続けるうちに、その商品名やサービス名に対するお客様からの信頼や評価が少しずつ積み上がっていきます。すなわち、商品名やサービス名は単なる「名前」ではなく、事業の信用そのものともいえる重要な資産になっていきます。
商標登録をしていない場合、例えば、ある日突然、弁護士や弁理士から警告書が届くことがあります。
もちろん、警告書が届いたからといって直ちに商標権侵害になるとは限りません。
使用している商標が商標権の商標と同一・類似ではなく、商標権を侵害していないこともあり得ます。
また、「うちは以前から使っていたので大丈夫ですよね?」という相談を受けることもあります。
確かに商標法には先使用権という制度があり、先に使用していた場合には継続して商標を使える可能性があります。しかしながら、先使用権が認められるには、様々な資料や証拠が必要になります。この場合、多くの時間や労力を費やすことになります。本来であれば事業に向けるべき時間を、権利関係の整理に充てなければならなくなります。
また、弁護士や弁理士への相談費用が発生したり、商標の変更が必要になることもあります。
仮に商標の変更が必要になれば、
・ホームページ
・名刺
・チラシ
・看板
・商品パッケージ
・SNSアカウント
などを修正しなければならないことになり、商標出願をしていれば避けられたはずの負担を背負うことになります。
また、時間をかけて積み上げてきた認知度や信用にも影響が及ぶ可能性があります。